お休み処「わびすけ」

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眠 り 雑 感

「春眠暁を覚えず」で言い訳ができる時季は過ぎたのに、最近私はよく眠る。昭和35年、東宝で封切られた黒澤明監督の作品の「悪い奴ほどよく眠る」のたとえもあるが、私自身は、自分が悪人だとは思っていない。年齢的な問題、仕事による疲労、そして晩酌の焼酎のせいだと思っている。就寝し眠りに落ちる時間も早いが目覚める時間も早く、翌朝三時、四時には目が覚める。原因は尿意を覚えてトイレに行くことにあるのだが、この時間からベッドを出るまでの時間が、私には貴重なのである。考え事をするのには頭が冴えていて、一番都合が良い。思考すべきことがないときにはテレビにお相手をしてもらっている。でも、この時間は何とコマーシャル・メッセージが多いことか。歳をとると、どうも短時間の睡眠の繰り返しになるようである。

一方、乳幼児はよく眠る。ma_210_1_[1]乳幼児にとって「眠る」と言うことは大切な仕事であり、発育・成長のためには眠らなくてはいけないのである。何故ならば、成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるからである。

眠り・睡眠に関して忘れてならない人の一人に元慶応義塾大学医学部教授でイワン・パブロフのもとで条件反射学研究された、林髞(ハヤシ・タカシ)先生がいる。林先生の著書は枚挙にいとまないが、昭和33年に「頭脳」35年に「頭の良くなる本」を出版され、パンは白米よりもビタミンB類が多いから頭によい、と唱えて評判になった。また、林先生は木々高太郎のペンネームで探偵小説〈現在の推理小説)も行っていた。この林先生が昭和44年に出版された「あなたも四時間眠ればよい」(双葉社)と言う本を興味深く読ませてもらったのを覚えている。勿論、林先生の「生理学概論」は、教科書として大いに活用させてもらった。

元総理大臣の小泉純一郎氏の筆頭秘書官であった飯島勲著「リーダーの掟」の中に、「世界を牛耳る国家元首は、いつ眠るのか」と言ったくだりがある。ナポレオンの睡眠時間三時間が有名であるが、「鉄の女・サッチャー」元首相も睡眠時間は三時間だったそうである。yjimage[10]飯島氏はこの著書の中で眠りに関する官邸調査「生物と睡眠のナゾ」を発表している。これによると、哺乳類の平均睡眠時間で一番長いのがナマケモノの20時間、ネコ、ハムスターの14時間、ヒト、ブタの8時間、ウシ、ウマ、ゾウ、ヤギの3時間とある。どうやら我々はブタと同等らしい。

また、魚は目を開けたまま睡眠行動をとっているという。しかし、多くの魚にはマブタはなく、フグやサメのようにマブタを持つ魚類でも、眠るときにはマブタを閉じることなく、障害物から目を守るときのみ目をつぶるのだそうである。そして泳ぐのをやめるとエラから取り込む酸素が不足して死に至ってしまうマグロは、休息行動が見られないため、睡眠をどうとるのかは不明だそうである。

さらに渡り鳥は飛びながら眠るわけではなく、沿岸の波の静かな海面に浮いて眠ったり、陸上に降りて眠ると記されている。

ところで農業生物資源研究所の調べによると、17年間も眠って雨を待っているムシがいると謂う。ネムリユスリカはyjimagePRDGQ71Jアフリカの半乾燥地帯の水たまりに生息する。干上がると眠りにつき、雨が降ると水を吸って目覚める。最長記録は17年だそうである。生物の生命活動に水は不可欠であるが、ネムリコスリカは水に代わる特殊な糖(トレハロース)を大量に合成、蓄積できるためなのである。

私たちもこのような特殊な才能を有することが出来れば、寝だめ、食いだめも可能となるのだが・・・

伊藤 克之