お休み処「わびすけ」

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日 曜 日 の 朝

2月、最後の日曜日の朝のことである。TBSテレビでは「げんきの時間」を放映していた。テーマは「身体の不思議」である。その中で、「(手の)爪は何のためにあるのか?」という質問を街頭で受けていた中年のご婦人が、、「(缶コーヒーや缶ビールなどの)プルトップを引き上げるため」と回答していた。なかなかの迷回答である。

私は咄嗟に落語のマクラを思い出した。どんな噺家だったかは覚えていないが、yjimage[4]与太郎の「馬の顔はどうしてあんなに長いんでしょうかネ?」という問いかけに対して、旦那は「そりゃお前、飼葉桶(カイバオケ・牛馬に飼料を与えるオケ)の底が深いからだよ」といった珍解答で応じる話である。すると与太郎は、「それじゃあ旦那さん!馬が生まれる前から飼葉桶はあったんですかい?」というやり取りの場面である。前出のご婦人を引き合いに出させてもらえば、人間の爪よりプルトップが先に存在したことになる。

話は変わるが、北海道大学大学院准教授の長谷川英祐先生は、「働かないアリに意義がある」の著書を発刊されている。働かないアリは、アリの社会の維持に不可欠であり、働かないアリだけで集団を作ると、やがて働くアリが現れると記されている。この傾向は、アリに限らず、ハチやアブラムシの一部、哺乳類のハダカデバネズミといった「真社会性生物」の世界にも存在するらしい。yjimageUJ8UGFRY

一方、巷間よく使われている法則に「2-6-2」というものがある。つまり、グループの優劣は2割の優秀なグループ、6割の普通のグループ、そして2割の周囲の人について行けないグループに分けられるという法則である。企業とすれば、また経営者とすればこの上位2割の「人材」が欲しいわけである。しかし、この上位2割の「人財」を採用したとしても、このグループはやがて2-6-2にグループ化する。また、下位2割の手の掛るグループだけで仕事をさせてみると、この2割のグループもやがては2-6-2にグループ化されるという法則である。

この2-6-2にグループ化する根拠は、長谷川先生の論を借りれば、「反応閾値」なのではないだろうか? つまり。仕事や勉学に対する腰の軽さやフットワークの良さの個体差ではないだろうか?

鄧小平は「先冨論」でこう言っている。「豊かになれる人からなればいい。そしたらみんなが後に続く」 この論を借りれば、まず「優秀な2割」に重要な仕事や権限を与え、この2割をエリート化し、豊かにさせましょう、ということになる。

しかし、2014年・NGOオックスファムの発表によれば、世界最富裕層85人の資産総額が下層の85億人(世界の人口の半分)相当すると発表している。現在の地球上では、この貧富の差はさらに拡大しつつある。このような人間の世界を、アリさんやハチさんはどう見ているのだろうか・・・。

伊藤 克之